こんにちは。三重県津市の印刷会社で、ホームページ制作(Wordpress)、コンテンツ・マーケティングを支援している、株式会社アイキャッチです。
本日は、印刷データを作成する場合において必ず必要になる作業、「校正」についての記事です。
まずは、「校正」の定義から紹介します。
校正とは原稿を忠実に再現することからはじまる
校正(印刷)
こうせい
印刷物をつくる過程で原稿を忠実に印刷物に再現する作業をいう。(中略)
校正の仕事の内容は、原稿と組版(くみはん)の試し刷り(校正刷り、ゲラ刷り)を照合して、組版上の文字、図版の誤りや、原稿指定(活字の大きさ、種類、体裁など)の誤りを訂正することが主であるが、原稿の内容や表現上の誤りをチェックして著者に注意を促すことも重要な一面である。校正者がかってに訂正することは原則として許されない。
出典:コトバンク
印刷の進行において、印刷物を製作するための元になる「原稿」が仕事の依頼の時点で渡されます。
印刷における校正とは、渡されたその「原稿」にしたがって、「忠実に」「再現」するのが、「校正」です。
校正(印刷物のデータを制作し、完成に向かう過程)は、一般的には次のように進行します。
2 受け取った原稿にしたがって、忠実にデータを作成します。
3 作成したデータ(校正刷り)を依頼者に渡し、発注側が原稿と相違ないかチェックをします。
この1から3までが一つのサイクルになります。こういった順序で2回目を「再校」、3回目を「三校」といった感じで、データの修正が進んでいき、完成に向かいます。
この「校正」について、文字の修正に特化した場合は「文字校正」、色の校正に特化した場合は「色校正」と言います。
また、「色校正」については、本番同様の紙と印刷機を使う「本機校正」とプリンターやDDCPを使う「簡易校正」があります。
実際はどのように進行するか
校正が順調に進行すれば良いのですが、まれに次のような状況になることもあります。
先ほどの進行(1,2,3)の続きになりますが、通常であれば
4 相違なければ「校了」、相違あれば「返校」されて「再校」「三校」・・・・
4 相違ないが、原稿の「部分的な差し替え」や、「他人の口出しによる原稿の変更」、すなわち「変稿」
「校正」という言葉の定義が理解できていない担当者(発注者)の場合には、このような状況が見受けられます。
変稿、とはなにか。
「変稿」、という言葉は私の造語です。(wikipediaとかでも見当たりません。)
しかし、これほど的確に状況を表す言葉は他にありませんので、この言葉を使います。
些細な変更では、私は「変稿」という言葉を使うつもりはありません。このような場合は「変稿」というより、原稿作成上のミスの範囲と言えるからです。
どういう状況を「変稿」というかといえば、「3」で初稿を提出した後に、
「この表現より、こっちの方がいいかな?」とか、「このイラストより、あのイラストの方が・・・」
「この色よりあの色が・・」と、「デザインごっこ」、「印刷ごっこ」になってしまい収拾がつかなくなってしまうような状況です。
そのおかげで、こちらには、なかなか「返稿」されません。その上、原稿製作に充てられるはずの限られた時間がどんどん過ぎて行ってしまいます。
(おそらく色々な人(上司とか、そのまた上司とか)がチェックしてくださっているのだとは思いますが、印刷の担当者は割と若い人が多いこともあって、立場的にいろいろな方にお伺いをたてなければならない、という事情もあるのかと思われます。)
チェックしてくださるの事はとても大事な事で、必要な事で、大変有難く、大いに結構なのですが、仕事には「納期」というものがあります。
納期というものがある限り、スケジュールも逆算して必然的に決まってきますし、校了をいつにする、というのもスタート時に伝えてあり、双方で合意して進めているはずです。
そして「入札」の場合は、要はわかりやすく言えば「安値競争」ですから、納期と価格の狭間で・・・・こういうことをくりかえされると非常に困ってしまうことになります。
誰にでも間違いはあります
(原稿を作る上での話ですが、)誰にだって「間違い」というものはありますし、原稿が完成した当時と発注時点では、内容を変更しなければならないといった事情も、たまにはあると思います。
しかし受注者に原稿を渡し、初稿ができ上ってきたあとに「あーでもない、こーでもない、やっぱりこうしよう、ああしよう」というのは、それは明らかに「校正」ではありません。
「変稿」です。はっきり言って、してほしくない事です。キツイ言い方をすれば、してはいけないことなのです。
もっと言えば、「原稿を渡す前にそれくらいやっといてください」と言いたい、という制作の方は多いのではないでしょうか。
というか、それはまだ「渡すことのできるレベルではない」原稿なのです。
ここで「してはいけない」と強めに書かせてもらいましたが・・・
期限内なら、校正の回数内なら、何度でも、どんな修正でもしてもいい、と思っている方は多いのではないでしょうか。
そんなふうに思いたくはありませんが、もし仮にそのように思われているのであれば、「それはちがいますよ」、と指摘をさせていただきます。
でも、実際には印刷物の内容をそのように修正してほしいのでしょうし、修正する必要があるから校正と同じように「赤入れ」して追記してくるのでしょうから、もちろんご希望どおり修正はさせていただきます。
担当者によって、ですが、「ここについては、渡した原稿が間違っていたのですが・・・」とか「最初と変わってしまって申し訳ないのですが、変えることはできますか?」等、一言添えていただける方もいます。
そういう方が担当者だった場合は、「ああ、この方はわかってらっしゃるな」「常識のある方だな」などと思い、(生意気ですみません)受注者も安心して仕事を進められる、そういったこともあるのです。
逆に、最初に無かった修正や、予定外の記事が追加でどんどんと入ってくると、次からは「見積金額が高くなる」と思ったほうがいいです。
発注者が気をつけたいポイント
事前の根回しを十分に
原稿を作成する段階から、事前に上司の方(決裁権のある方)にお伺いをたててみるのはいかがでしょうか。
そうすればその段階では修正するための時間がたくさんありますので、余裕を持って間違いのない印刷物を作成しやすくなることでしょう。
余裕を持った納期の設定を
落札決定をしているのに、一週間以上も原稿を渡してくれない担当者もいます。それで、納期は動かせないという。これは言い方を代えれば、そもそも「原稿を引き渡す」という債務を履行していないことになりますから、「債務不履行」です。
そのうえ、印刷会社に対しては「納期は守りなさい」「○月○日までに必要」というのですから、言っていることが支離滅裂です。
自分は約束を守らないのに、相手には約束を守れという。こういうことがあってはなりません。
そうならないためにも、「余裕を持ったスケジュール」を組み、相手にも守らせたいのであれば、自分も守りましょう。
以上、社会人として当たり前といえば当たり前のことばかりかと思われますが、印刷物における「校正」と「変稿」そして「対策」について、思うがままに書いてみました。